ランニングフォームを直すには、まず平坦な場所で全身を撮影し、前後左右から走り方を確認します。横からは着地位置、前後からは身体や脚の左右の傾きなどを見ましょう。気になる点があっても一度に変えようとせず、改善するポイントを一つに絞り、イージーペースで試すのが基本です。かかと着地・ミッドフット・フォアフットのどれかを、全員に共通する正解として考える必要はありません。
フォームは、動画で癖を見つけて終わりではなく、「何を確認するか」「次に何を試すか」を決めて取り組むと整理しやすくなります。撮影から改善まで、無理なく進める手順を紹介します。
まずは全身が映る動画を撮る
ランニングフォームを一人で確認するなら、スマートフォンなどで走っている姿を撮影します。画面には頭から足先まで全身が入るようにし、坂道での走りを確認する場合を除いて、基本的には平坦な場所で撮ります。上り坂や下り坂ではなく普段の走りを見たいときは、平坦な場所の動画を使うと条件をそろえやすくなります。
撮影する方向は、可能であれば前・後ろ・左・右の四方向です。横からの映像では着地した足の位置が見やすく、前後からは左右への傾きなどを確かめられます。まずは短い動画を撮り、全身の動きを見返せる状態にしましょう。
動画撮影の基本的な考え方は、MELOSのランニングフォームチェック方法でも紹介されています。
動画で見るポイントを方向別に確認する
動画を見るときは、気になるところを次々探すより、撮影方向に合わせて項目を分けると確認しやすくなります。最初からすべてを直そうとせず、まずは現状を把握しましょう。
横から見る:着地位置と脚の動き
横からの動画では、着地の瞬間に足が身体より前へ大きく出ていないかを確認します。フォームの目安としては、足を身体の前方に出しすぎず、身体の真下に近い位置で着地することが挙げられます。ただし、動画の一場面だけで走り方全体を決めつけず、何度か足が着く様子を見て判断します。
あわせて、地面に着いたとき、足裏のどの部分が先に地面に触れているかも見ます。また、足が地面を離れた後に、股関節がどれくらい後ろへ動いているかも確認項目です。これらは走り方の特徴を把握するための観察ポイントであり、それだけでフォームの良し悪しや痛みの原因を判定するものではありません。
前後から見る:左右の傾き
前と後ろから撮った映像では、走っているときに身体や脚が左右へ傾いていないかを見ます。着地のたびに身体が大きく左右へ揺れて見える場合は、同じ場面を何度か再生して、どの動きが気になるのかを整理します。
前後の動画だけで原因を断定する必要はありません。気になった動きをメモしておき、次に試すポイントを一つ決める材料にしましょう。
直すポイントは目安と照らして一つ選ぶ
フォームの基本的な目安には、背筋を保つこと、肩の力を抜くこと、体幹を安定させること、足を身体より前に出しすぎず身体の真下に近い位置で着地することがあります。動画を見て気になる点が複数あっても、最初に意識するのは一つだけにします。
たとえば、上半身に力が入っているように感じるなら、まず「肩の力を抜く」を選びます。横から見たときに足が前へ出ているのが気になるなら、着地位置を意識する方法があります。姿勢、肩、着地を同時に直そうとすると、何を意識した結果なのかが分かりにくくなります。今回の練習で試すテーマを一つに決めてから走りましょう。
着地方法は一律に変えない
かかとから着地するヒールストライク、足裏全体で着地するミッドフット、前足部から着地するフォアフットには、それぞれメリットとデメリットがあります。足裏のどこが先に地面に触れるかは動画で確認できますが、見つけた着地方法をそのまま「直すべき癖」と決める必要はありません。
着地のタイプだけを基準にせず、足が身体より前に出すぎていないか、姿勢や動き全体がどう見えるかを確認しましょう。ランナーによって骨格や筋力が異なるため、全員に共通する一つのフォームを当てはめることはできません。着地方法を変えれば必ず速くなる、けがを防げるといった保証もありません。
フォームの目安や、着地を一律に矯正しない考え方については、Onのランニングフォーム解説も参考になります。また、着地方法ごとの特徴については、MELOSの記事で説明されています。
選んだポイントをイージーペースで試す
意識するポイントを決めたら、イージーペースで5〜10分ほど走り、その一点に集中します。たとえば「肩の力を抜く」と決めた日は、腕振りや着地まで同時に変えようとせず、肩の力を抜くことだけを意識します。
走り終えたら、次のように振り返ります。
- 選んだポイントを意識しながら走れたか
- 無理に動きを変えようとしていなかったか
- 走った後の動画で、気になっていた動きを確認できるか
すぐに見た目が変わらなくても、短い時間で大きくフォームを変えようとする必要はありません。気になる点を一つずつ試し、動画を見返して次に取り組むテーマを決めます。フォーム改善によって必ず速くなる、長く走れる、疲れにくくなると決めつけず、無理のない範囲で確認を続けましょう。
必要に応じて基本ドリルを取り入れる
走るだけで動きを意識しにくい場合は、基本ドリルを練習の選択肢にできます。例として、もも上げ歩行、脚を振り出す動作、ランジなどがあります。走るときに意識したい動きを、走行とは別に確認するための練習例です。
ドリルは全員に必須ではありません。フォームに気になる点があるからといって、すぐに多くの練習を加える必要もありません。取り入れる場合は無理のない範囲にし、疲労や痛みがあるときは負荷の高いドリルを行わないでください。ドリルを実施すればフォームや痛みが必ず改善する、とも言い切れません。
痛みがある場合は動画だけで判断しない
痛みや長引く不調があるときは、動画で見つけた癖だけを根拠に原因や故障箇所を決めつけないことが大切です。フォームの映像は走り方を観察する材料であり、痛みの原因や練習を続けてよいかを診断するものではありません。
痛みがある状態で負荷の高いドリルを無理に行うのは避けましょう。長引く不調は見過ごさないサインですが、動画だけで練習継続の可否や受診時期を判断することはできません。不調が続く場合は、フォームの自己判断だけで済ませず、状況に応じて医療機関などの専門家に相談してください。
なお、スポーツ庁が紹介する身体機能のセルフチェックは、身体の状態を把握するためのツールです。ランニングフォームを専門的に診断するものとは区別して活用しましょう。実施する際は無理をしないでください。スポーツ庁のセルフチェックで内容を確認できます。
ランニングフォームを直す手順のまとめ
ランニングフォームを改善するときは、まず平坦な場所で全身を撮り、可能なら前後左右から確認します。横からは着地位置や足の動き、前後からは左右の傾きなどを見ましょう。そのうえで、姿勢や肩、着地などから気になる点を一つ選び、イージーペースで5〜10分ほど試します。
着地のタイプを一律に変える必要はなく、動画だけで痛みの原因も判断できません。フォームの確認と改善は、一度に多くを変えず、無理のない範囲で一つずつ進めることがポイントです。
