マラソン後半の失速は、糖質不足だけでなく、前半のオーバーペース、筋疲労、補給や給水の不備、暑さ、脚づくり不足など、複数の要因が重なって起こることがあります。次のレースに向けては、前半のペースと補給計画を振り返り、練習では後半のフォームや疲労、痛みも確認しましょう。強いめまいや胸痛などがあるときは走り続けず、安全を優先してください。
「30kmの壁」と呼ばれることもありますが、失速する距離や理由はランナーごとに異なります。失速した距離だけで原因を決めつけず、当日の気温やペース、補給、脚の状態をまとめて振り返ることが大切です。
後半に失速する原因は一つとは限らない
糖質不足は失速の原因の一つですが、それだけで説明できるとは限りません。前半に速く走りすぎたことによる負担、筋疲労、補給食が胃に合わないこと、給水の遅れ、暑さや脱水、脚づくり不足などが影響する場合があります。複数の要因が重なっていることもあります。失速の原因と対策でも、糖質不足以外の要因が挙げられています。
レース後は、次のような点を記録しておくと、見直す項目を整理しやすくなります。
- どの地点からペースが落ちたか
- 前半に目標より速く走っていなかったか
- 補給食を予定どおり摂れたか、胃の重さなどがなかったか
- 給水の状況や当日の暑さ
- 失速時の脚の疲れ、痛み、フォームの変化
一つの症状だけから原因を断定するのではなく、レース中の状況と練習での状態を合わせて振り返りましょう。
前半は目標ペースに沿って走る
前半に目標ペースを上回って走ると、糖質の消費や筋肉への負担が増え、後半の失速につながる可能性があります。序盤に貯金を作ろうとするより、スタート直後から目標に沿ったペースを保つことが対策の一つです。
スタート後は周囲のランナーにつられてペースが上がりやすくなります。最初から速さを求めず、落ち着いて走り始めましょう。目標ペースに対して余裕があるかを意識し、後半に向けて負担を積み重ねすぎないことがポイントです。
すでに走行中にペースを維持できなくなってきた場合も、決めたペースに固執する必要はありません。いったんペースを落とし、呼吸や脚の状態を確かめてください。予定どおり走ることより、体調と安全を優先します。
補給と給水は前半から計画する
補給は、失速してから慌てて始めるのではなく、レース前や前半から計画しておきます。ただし、必要な量やタイミングを全員に共通する基準として決めることはできません。自分が走りながら摂りやすい方法を練習で試しておきましょう。
ロング走やペース走では、以下の点を確認できます。
- 走りながら補給食を摂れるか
- 摂った後に胃が重くならないか
- 補給食を水と一緒に摂る必要があるか
- 練習中に給水が遅れたり、摂りにくかったりしないか
練習で問題がなかった方法でも、レース当日の気温や体調は異なる場合があります。補給食の種類や摂り方を本番で初めて試すのではなく、事前に自分に合う方法を確かめておくと、当日の計画を立てやすくなります。暑さや発汗の状況も考え、補給だけでなく給水も含めて準備してください。
練習では距離だけでなく後半の状態を確認する
ロング走では、走った距離だけでなく、後半にどのような状態だったかを記録しましょう。後半もフォームを保てたか、目標ペースに余裕があったか、補給しながら走れたかを確認します。練習後から翌日以降に疲労が強く残らないか、脚に痛みや違和感が出ないかも、負荷を見直す手がかりになります。ロング走で確認したいポイントも参考になります。
体力に合わせて取り入れられる練習例として、ロング走の終盤にペースを上げる方法や、疲労がある状態で目標ペースを走る方法があります。こうした練習は、疲れた状態でペースやフォームを保つ力に刺激を入れる考え方です。マラソン後半の走力に関する解説でも、練習例と回復の重要性が説明されています。
ただし、特定の練習をすれば失速を必ず防げるわけではありません。疲労が抜けないまま高強度の練習を重ねると、怪我や不調につながるおそれがあります。刺激を入れる日と回復する日を分け、自分の体力や練習後の状態に合わせて負荷を調整しましょう。練習案も、走力に応じて時間やペースを調整することが勧められています。ロング走の練習例を参考にする場合も、紹介された時間をそのまま自分の練習に当てはめるのではなく、体力に合わせて考えてください。
走行中に失速しそうなときは無理にペースを保たない
ペースが落ち始めたら、まずペースを下げ、呼吸や脚の状態を確認します。補給や給水を予定していた場合も、体調や摂りやすさを見ながら対応してください。失速の原因をその場で一つに決めつけず、無理にペースを戻そうとしないことが大切です。
強いめまい、冷や汗、胸痛、吐き気、意識がぼんやりする、まっすぐ走れない、言動がおかしいといった異常があれば、走り続けないでください。ペースを落として涼しい場所へ移動し、体を冷やす、水分や塩分を補給する、救護所に相談するなど、安全を優先します。症状が強い、または改善しない場合は、周囲に助けを求めてください。異常を感じたときの対応も確認できます。
次のレースに向けて見直すこと
後半の失速を振り返るときは、次の順に整理すると改善点を見つけやすくなります。
- ペース:前半に目標より速く走っていなかったか
- 補給・給水:計画どおり摂れたか、走りながら問題なく使えたか
- 練習での状態:ロング走の後半にフォームやペースを保てたか
- 疲労と痛み:練習後や翌日以降に、疲れや違和感が強く残っていないか
- 当日の環境:暑さなどが走りに影響していなかったか
マラソン後半の失速は、単純に気持ちの問題と決めつけず、ペース、身体の疲れ、補給、環境を分けて確認しましょう。前半から目標に沿って走り、補給方法を練習で確かめ、ロング走では後半のフォームや疲労まで記録することが、次のレースの準備につながります。走行中に強い異常を感じた場合は、目標タイムより安全を優先してください。
